西洋人の自我は統合性を重んじるので、論理的に不整合なことは受け入れ難い。これに対して、日本人の意識は相当な曖昧さを許容する。片方で自然科学者としての高い知識をもちつつ、片方では輪廻ということを何となく信じていたり、あるいは、信じているわけではないがなどと言いつつも、半意識的な支えとして持っていたり、ということがあると思われる (p. 222)。
「ライフサイクルとイメージ」章の「直線と円環」から、西洋の直線的発達論や死生観と日本の円環的視点について述べている部分での内容。
河合隼雄(1991) イメージの心理学 青土社